連載小説
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2.
サク サク サク……


雪を踏みしめるたびに、心地よい音がする。

冬は好きだ。周りがしんみりするからこそ心が落ち着く。

ハァッと息を吐くと白くて、冬を実感する。



『あー、日向さんじゃーん!!!』


ビクッ



後ろから聞こえた声はアタシを追い越して、目の前に立つ。

声の主であろう人は、違うクラスで見たこともない人で

あと3人の女子と一緒にアタシに笑いながら話しかけた。

…笑いながらと言っても、ニヤニヤ笑いだけど。



『日向さん独りぃー??』


『独りじゃん。見るまでもなく(笑)』


『本人の前でそういうこと言うなバカッ(笑)』


『日向さん可哀想ww』



……こういう女子は、嫌い。

話したこともないのに、こんな風に人に失礼なことを言う。

だからと言って無視する勇気もないから、苦笑いをするんだけど。



アタシが反応したのを見て、笑いながら続ける。



『あのね?日向さんさぁ、みんなに嫌われてるよー?』



―――――……!!



『アンタッ、そういうこと言うなって(笑)』


『しかもイキナリ。可哀想ーー(笑)ごめんねー?』


『え?だってさぁー』




――やだ



『気づいてないみたいだし、言ってあげなきゃ可哀想じゃーん。』




――やめて




『もっとさ、いろいろ考えたら?自分の悪いところとか。

 そういうこと考えようとしないから嫌われるんじゃないの?

 ま、独りでいたら楽かもしれないけどさぁ(笑)』




―――――……



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



自分の悪いところなんて、いくらでも知ってる。

いつでもそんなことばっか考えてる。

楽なことなんて一度もなかった。



それでもアタシは、嫌われますか?



もう……嫌だ。

この世界に、アタシの居場所なんてない。




涙が頬を伝った瞬間に、アタシは見た。

涙でゆがんだ世界の中で、男の人が泣いているのを。







11/01/12 17:47更新 / 美穂
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■作者メッセージ
正樹くん出てこなくてすみませんすみません;;

次は絶対出てくると思います。^^;

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