paranoia投稿SS作品集>浅羽>カメレオンの皮を剥ぐ

カメレオンの皮を剥ぐ

浅羽

INDEX

  • あらすじ
  • 01 権力色の皮、ひとつ
  • 02 権力色の皮、ふたつ
  • 03 権力色の皮、おわり
  • カメレオンの皮を剥ぐ

    革張りのソファに初老の男が座っている。その膝のうえでひとりの子どもがうずくまっていた。子どもは「おじいさま」と、か細く呼びかけた。
    「おじいさま。どうして私は生まれてきたのでしょう」
    男は大きな手のひらで子どもの頭を撫ぜた。強く、強く、その感触を刷り込むように何度も撫ぜた。そうして膝のうえの子どもを見つめて、彼はそっと語った。
    「人は皆、愛されるために生まれてくるのだよ。だから、お前も誰かを愛しなさい」
    暖炉の火はぱちぱちと暖かかった。それでも子どもは震えるように、男の腕にしがみついて、顔をうずめた。

    10/04/07 19:46 浅羽   

    Copyright 浅羽 All Rights Reserved.
    CGI by まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.30c