宮廷が、何か最近騒がしい
ヴォルクは鍛錬を止め、一息つく
「おい、お前達。最近訓練に身が入ってないぞ」
護衛官の後輩達を軽く注意する。今は自由時間だが皆武術の練習もせず、口々に何かを話し合っている
「す、すいませんヴォルク隊長!」
「あの、ヴォルク隊長はご存じですか?噂の事」
「噂?」
「はい。第三王子アルト様の個人教授、雪凪様が――」
「ご結婚なさるって話なんですが・・・」
手から剣が滑り落ちる
「ヴォ、ヴォルク隊長!?」
いけない。いつ何時でも冷静ではなくては
「ただの噂だろう」
俺は落ちた剣を拾い上げる
「いや、それが見ちゃったんですよ」
「そうなんです。ウエディングドレスを着た教授の写真を」
「馬鹿な事を言ってないで、訓練を始めるぞ」
「あの、ヴォルク隊長・・・」
「それ、剣じゃなくてダンベルです」
「・・・・・・・・・・」
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