背中に寒気を感じ、恐る恐る背中を振り返った。
『ベ、ベルゼビュート……やっぱり貴方ね』
「おや。やっぱりとは?」
『背中に寒気が感じる時は大体ベルゼビュートがいるもの』
「なるほど。それほど私が気になっているのか」
『いやいや、一言もいってないから。というか、黙って背中に立つのやめてよね』
「何故?」
『何故って、普通に怖いからに決まってるでしょ』
「成る程。君が恐怖に慄く姿は美しいからな』
何を言ってるんだこの人は…
『はぁ……何か私にご用ですか?』
「いや。只、君の姿が見えたからな。挨拶でもしておこうかと」
『挨拶って、嫌味をですか?』
「嫌味?私は一言も言った覚えはないが」
『……そうですか。』
「ベルゼビュート様」
『げっ、ハーベンティ』
ハーベンティは、私を睨むとベルゼビュートに向き直った。
「ベルゼビュート様。例のお方がお帰りです」
「ああそうかい」
ふと、2人の後ろを遠ざかって行く人々がいた。
『えっ?それだけ?挨拶しなくていいの?』
「すでに終わった仕事だ。その後、何故挨拶をする必要がある?」
『えっ?お客様なんだから、また来てくれるように最後まで挨拶をするものじゃない?』
「流石。人間の考えだな。だが、興味ないことに関わらない主義でな」
『興味ないって……』
「おや。逆に問えば興味のある事にしか、惹かれない。つまり、君に挨拶をするのも興味があってこそだが。」
『私は迷惑してます。じゃあ、帰りますね』
「それならば、ハーベンティ。彼女を店まで送ってあげろ」
「………はい。ベルゼビュート様」
『今の間はなに?!いいです!いいです!遠慮します!』
「そう。謙遜しなくていい。世の中、色んなところに危険が迫っているからな」
『尚更、今がその時じゃないですか?!』
[6]
次へ
[7]
TOP [9]
目次