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「だいじょうぶ?どうして泣いてるの?」
「ひっく...爺やに...また怒られたの」
「そっか...ねぇ。ボクといっしょに城からぬけだそうよ」
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『うわぁー。凄い!隣国との合同訓練って本格的だね。ヴォルク』
今、目の前には全員が隊列を揃えてあちらこちらと移動しながら列を揃えている。
ヴ「この程度で凄いと思われても困る。今やってるのは、国王様の前に披露するものだからな。まだまだ練習が足りない」
『へぇー。これでもまだまだなんだね』
ヴ「ああ。それにしても咲舞殿はなんだか、楽しそうだな」
『うん。すっごく楽しいよ!初めて見たけど想像以上で、圧倒されちゃった。それにヴォルクが先導にたって皆に指示出したりして格好良かったし!』
ヴ「そ、そうか。それは良かった」
ア「おやおや、ヴォルク。鼻の下が伸びてるぞ」
『えっ?!』
ヴ「アラストル殿!何を!」
ア「ははっ、冗談ーー」
『ちょっとヴォルク、動かないで』
私はメジャーを取り出すと、それをヴォルクの顔に近付けた
ヴ「咲舞殿、、、何する気だ?!」
『動かないで!私の今の研究テーマが、鼻の下が伸びるという言葉を研究中なの。実際どれ位伸びるのか計らせて、、、』
ヴ「なっ!!何だそのテーマ!」
ア「はっは!教授は面白い方だな」
『私は真剣だよ、ヴォルク。協力して』
ヴ「ち、近い、、、」
突然、背中を強く押された
『きゃ、、』
軽く、ちゅっと音をたてて、ヴォルクの頬に唇が当たった
ヴ「っ!!」
『ご、ごめんヴォルク!誰かに背中を押されて...』
フィ「なーんだ。残念。ほっぺか」
『フィーナ様!?何するんですか?』
フィ「何ってキスしそうだったから、手伝ったのよ」
『キス、、?って違いますよ!私は只研究しようと!ね!ヴォルク!』
ヴ「・・・・」
『ヴォルク?』
ア「あー、、ごほん。これはフィーナ様。今日は宜しくお願い致します。」
フィ「ええ。宜しくね。」
ア「それでは、私共は準備がありますので」
そう言うとアラストルさんは、ヴォルクを引きずって訓練所に向った。
『ヴォルク大丈夫かな?』
フィ「ねぇ。貴女、私と仲良くしたいんでしょ」
『あ、はい。そうですよ。』
フィ「だったらお願いがあるの」
『何でしょうか?』
フィ「あの森の奥に行きたいの」
『森、、ですか?でも危険ですよ』
フィ「いいから連れて行ってよ。私、小さい頃からあまり、外に出して貰えなくて。ああいった所も行っちゃ駄目だったの。お願いよ」
『フィーナさま、、、』
フィ「…なんて、どーせ貴女も周りの人間と同じでしょうけど』
『分かりました。但し条件があります。それでいいですね』
フィーナ様は一瞬驚いた表情を見せたが、それはすぐに消えた
フィ「いいわよ。それで」
フィ「条件を飲むと言った私が馬鹿だったわ」
『どうしたんですか?』
フィ「どうしたも、こうもないわよ!なんで私が貴女と手を繋いで森な中に入って行かなきゃいけないのよ?!ハイキングでもしてるつもり?!」
『あ、面白いこといいますね。ですけど、この森本当に迷路で、崖だってあるし危険なんですよ。手でも繋いで置かないと本当に危険なんですから』
フィ「(、、、私何してるのかしら。この女に文句があって、誰もいなさそうなこの森を選んだのに)」
(ーーフィーナのこと、嫌いになってしまう)
フィ「…っ」
『フィーナ様?疲れましたか?』
ふいに、繋いでた手を離される
フィ「本当に、、貴女はきらいだわ」
顔をふせ、フィーナ様はぽつりと呟いた
フィ「私にはアルトだけだった。小さい頃、どうしようもなく辛くて孤独だった私を、助けてくれたのはアルトなの。あれからずっと、私にはアルトが全てだった。なのにどうして、、、」
顔をあげると、瞳に涙をためたフィーナ様が私を睨む
フィ「どうして貴女なのよ!貴女のせいで私はアルトから見捨てられる!貴女さえ居なければ、、、」
『…フィーナ様』
フィ「貴女さえ、、、いなくなれば」
フィ(ああ、、頭の中でちらつく。アルトがこの人を見る時の、あの表情)
ーーフィーナはポケットに隠し持っていたナイフに触れる
『…分かりま
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