「おはよう、静蘭ちゃん」
「あ、おはよう由美ちゃん」
「?あれ、どうかした?」
「どうしたの?」
「ううん。何だかいつもより、ちょっとだけ元気な気がするから」
「そう?」
「ううん。気のせいかも。でも、本当にそうだったら嬉しいけどね」
クラスメイトで友達の由美と、そんな話をしながら教室まで向かった。
(ああ、思ってたより。寂しかった…のかな)
「お兄ちゃんが帰ってきて、どこかで安心してるのかも」
「何か言った?」
「へ?ううん、何にも」
そして靴箱へ向かった時、見知った顔と出会った。
「や、おはよう。雅、香川」
「おはよう、柳田君」
「おはよ」
にこやかに、爽やかな笑顔で挨拶をしてきたのはクラスメイト兼友達の柳田修一郎。高身長に甘いマスク、優しい言動に女子には勿論それなりに人気で。男子には気さくでそれなりにうまく事を運んでいる。
「雅ももうここには慣れてきたよな」
「さすがに、ね。っていうか、二か月も経って周りにこんな良い友達がいるのに慣れないほうが難しいよ」
「そりゃそうだな」
他愛のない話を交わす。そんな間にもその足は既に教室の前へと着いていた。扉を開ければそこには今となっては見知った顔が。
「おはよう、清水君」
「よ、清水」
「おはよう、清水君」
もう1人のクラスメイト兼友人の清水晶。眼鏡をかけたいかにも「秀才」という雰囲気を醸し出す彼は、少し暗めな印象を持ってもいる。オカルトに興味があり、霊感も多少あるようでそのことも少なからず関わっているだろう。
この三人が美浜市立高等学校へ転入してからできた、友人たち。
みんな優しく、気さくで話しやすくそれなりに仲良くなった。
本当に周りの環境に恵まれていると、運に恵まれて良かったと思う。
「今日の時間割って、なんだっけ」
「3限目の化学が化学室での実習だ」
「となると、移動教室になるんだね」
「そうだな」
友人との他愛もない会話。これはこれでとても安心できるし、これもまたひとつの居場所だと思える。
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