「あ、アルト様の新しい個人教授さんですか?」
「はい。そうですけど…」
「あぁ、俺はイレールです。画家です。あの、兄貴にも紹介したいんで、ちょっと着いて来てもらえますか?」
「はい。じゃあ、シュイエ、またくるね。」
「はい。」
「奏さん、俺達、だいたい同じくらいの歳だと思うから、敬語じゃなくていいですよ。」
「えっ、でも…」
「俺達もそうするから。着いたよ。兄貴は、音楽家なんだ。おーい。イーヴ、新しい個人教授さん、連れて来たよ。」
「初めまして。奏です。あの、音楽家さんなんですよね?」
「ああ。」
「奏、イーヴにも敬語じゃなくていいよ。」
「う、うん。それでね、私、論文も書いてるんだけど、テーマが音楽なの。それで、もし良かったら、イーヴが暇なときにでも、いろいろ教えてくれる?」
「ああ。」
「ありがとう。」
「奏、絵のこととかもいつでも聞いて。」
絵…か。絵は苦手なんだよなぁ。
「あ、もしかして、絵は苦手?」
「な…なんで?」
「顔に出てる。」
「う…」
「ははっ。奏をいじるのも面白いかも。」
「うぅ…。そっ、そうだ!挨拶周りの途中だったんだ。じゃあ、これから、よろしくね。」
逃げるが勝ちだよね?
「そっか、じゃあ、また遊びに来てね。」
「うん!」
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