だけど…その違和感の原因が全然分からない私は、「まぁいっか」と呟いてそれから深く考えようとはしなかった。
…いや、考えたくなかったのかもしれない…気付いてしまったら、今の気持ちを全否定してしまうような気がしたから―――――…
「そうだ!明日の為に今日はバイトが終わったら買い物でもしようかなぁ?」
香川さん…何が好きだろ…
私はふと頭に浮かんだ疑問に自問自答したが、全然分からず苦戦していた。…とそこに
「…真実ちゃん?」
「今考え事してるからあとにし…香川さん!?」
そこには教科書を抱えている香川さんが立っていた。私が大きな声を張り上げたので香川さんは苦笑していた。
「どうしたの?難しそうな顔してたけど…」
「あ…えっと…」
今だ、今しか聞けない!きっと…
私はすぅ…と息を吐くと目をギュッと瞑った。
「か…香川さんはどんなお菓子が好き…なの?」
「え、お菓子?えーとね…シュークリームが好きかな」
「シュークリーム…?」
私がそう呟くと香川さんは目をキラキラさせて「うん!」と返事をした。
シュークリームかぁ…難しそうだなぁ…
「でも…どうして急に?」
「あ、ううん、何でもないの。ただ気になったから」
「ふ〜ん」
…とそこで誰かが私の肩に手をポンと置いたような感じがした。私は「えっ!?」と声を上げて、ゆっくり後ろを振り返った。
ん?こんなの前にもどこかで…
「柳田君!?ど、どうしたの?」
柳田君は微笑しながら「廊下で突っ立って何話してるのか気になって…」と私に告げると、今度は香川さんの方を向き直った。
「由…香川、宮原先生が呼んでたぞ」
香川さんは「え、大変!忘れてた!」と言うと私に向き直り「ごめんね、真実ちゃん!じゃあ…明日楽しみにしてるから!」とだけ言って走ってどこかへ行ってしまった。
「明日って…明日、香川と何かするの?」
「あ…うん!勉強会するんだ!」
「へー…」
柳田君は「そっか、楽しみだな」と微笑みながら言ってきた。私もそれに答えようと笑みを浮かべた。
「そうだ、それで…何の話してたんだ?明日の事?」
「あ…えっと、香川さんの好きなお菓子を聞いてたの」
「あぁ、シュークリームだろ?香川、シュークリームが子供の頃から大好きなんだ」
「え…あ、うん、そうなんだ…」
柳田君は笑みを浮かべながら話しかけてくるけど、私は柳田君の話を聞いている余裕が無かった。
なんだか…柳田君、香川さんの事何でも知ってるみたいな口調だった…
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