違和感

私は小躍りでもしそうなほどのテンションで廊下を歩いている(と言うよりもスキップしていると言った方がいいだろう)と、ドンッ!と誰かにぶつかり、私は思いっきり尻もちをついた。

「いたたた…ご、ごめんなさい!」

私はあまりの恥ずかしさに涙を浮かばせながら頭を深く下げた…と頭上から聞こえてきた声に私は耳を疑った。

「え…岡崎?」

「やややややや、柳田君!」

そこには柳田君が居て、「いてて…」と顔をしかめつつ、「どうした?」と不思議そうに問いかけていた。
私は勢いよく顔を上げて、自分の手をパシッとくっつけて顔の前にやった。

「本当にごめんね、柳田君!その…わざとじゃないの!ただ…ちょっと…良い事があって…」

「いいよ、全然。気にしてないから」

そう言って柳田君はニッコリと笑った。私はその素敵な笑顔に溶けてしまうような…そんな感じがした。

「あのさ…」

「え、何?」

「岡崎が元気いいのって…香川が関係してるのか?」

いきなりの事に私は「え?…え?」と戸惑ったが、少しだけ微笑んで「うん!」と元気よく言った。
すると柳田君は少しだけ頬を赤くさせ「そっか…」とだけ呟いた。

その時…ある違和感を感じたような気がした。

だけど、その違和感が何なのか調べる前に柳田君は手を振って「じゃあな」と踵を返して、歩いて行った。

「なんだろう…この…胸のモヤモヤとした感じ…とっても…嫌だ」

私は1人、誰も居ない廊下でそんな事を呟いていた。勿論、誰かが返答してくれるはずもなく、返ってきた言葉なんて無かった…
10/03/26 07:00更新 / 真実
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