「だ…誰?」
私は訝しげな顔をしながら後ろをゆっくりと振り返った…とそこにはニコニコと笑みを浮かべている香川さんが居た。
「か…香川さん!?」
「真実ちゃん、小テストどうだった?私は全然駄目だったよ〜」
そう言って香川さんは、私に小テストを見せてきた。…あ、本当だ…平均点より下…
「もうちょっと勉強しておけばよかったな…で、真実ちゃんはどうだった?」
「あ、私も全然だよ?あんまり香川さんと変わらないし…」
そう言いながら私は香川さんに小テストを渡した。香川さんはそれを眺めた後、「すごいね〜」と満面の笑みを浮かべながら私を見た。
「いきなりだったのにこんな点数とれるなんて…いっつも真実ちゃん頑張ってるからだね!」
「そ、そんな事ないよ?ほら…私、陸上部員なのに走るの遅いし…」
「そうかなぁ〜?真実ちゃん、すごく頑張ってると思うけど…」
香川さんは「はい」と言って私に小テストを返してきた。私はそれを受けとり、机の中へと押し込んだ。
「真実ちゃん…もしよかったら…勉強教えてくれないかな?」
「えっ?勉強?」
いきなりの香川さんの提案に私は驚き、目を見開いた。
香川さんはクスクスと笑いながらも「うん」とうなずいて私の手を握ってきた。
「真実ちゃん、すごく頑張ってるでしょ?私も頑張らなきゃな〜…って思って…もしよかったらでいいんだよ?ほら、真実ちゃんアルバイトとかで忙しそうだし…」
「え、あ、大丈夫だよ?うん、大丈夫!」
私は頭をブンブンと縦に振りながらも少しだけ笑顔を浮かべた。そんな私を見て香川さんは満面の笑みを浮かべて「よかった〜」と紡いだ。
「断られたらどうしようかと思った〜」
「でも…私なんかより清水君に聞いた方がいいんじゃ…?」
「ん〜…清水君もいいけど…やっぱり私は真実ちゃんともっと親しくなりたいし…それに一度でいいから真実ちゃんの部屋に入ってみたかったんだよね!」
「え!?そ、そんな期待されるような部屋じゃないよ?」
私は冷や汗を流しつつもそう言うと香川さんは「真実ちゃん、顔青いよ」と面白そうに言った。
「じゃあ、いつでもいいからね!楽しみにしてるね!」
そう言って香川さんは手を離して自分の机へと向かって行った。
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