「ふざけるな!」
ヴォルクが急に怒鳴り出した。
なんで?
「テレビの観すぎだ!アニメと一緒にするんじゃない!」
「そんなことないもん!理論的には可能だもん」
「理論的に可能だからと言って、やっていいことと悪いことがある!」
やっぱ。ダメかな?
「わかっているのか?人を人の手で作るってことだぞ。もし失敗したとしても、その失敗した個体に、人格がそなわることだってあるんだ」
「ちゃんと成功させるわ!」
「成功しなかったら?」
「成功しなかった時のことを考えて、何もしなかったら科学は進歩しないわ!」
「その結果、生まれてくる子供のことを考えているのか?」
それで、可愛い猫耳獣人ベイベが生まれるのよね。
何か悪いことでもあるのかしら……。
でも、ヴォルクが怒るってことは、イングリフさんが言っていた、人面犬のような子供が生まれるかもしれないってことかしら?
それは困るわ……。
「失敗するということは、その子が死ぬということなんだぞ!死ななかったとしても、何らかの障害が残るかもしれない。完全なコーディネーターが出来上がるまでに、何人の犠牲が出ると思っているんだ!」
なんだ、そんな心配?
私がそんなことをすると思っているのかしら?
「私は、犠牲なんて出さない。必ず成功させる」
だって、何が何でも愛くるしい猫耳獣人ベイベを作りたいもの。
失敗なんて、するはずないじゃない。
もし、人面犬になる恐れがあるというのなら、遺伝子操作をして必ず愛らしい猫耳獣人ベイベにしてみせるわ。
「成功したとしても、実験体として、一生を送ることになるかもしれないんだ……。マリアンヌ殿が貸してくれたマンガでもそうだったじゃないか……」
「あ、やっぱり読んでたのね。やけに詳しいと思った」
こんなに反対されるんなら、貸すんじゃなかったかな。
「……マリアンヌ殿が貸してくれたんじゃないか」
「ヴォルクは忙しいから読んでないかな?って思ってたの」
でも、気に入ってくれたみたいだから、よかったわ。
この国で、アレが受けるかどうか、知りたかったのよね。
うまく行ったらアルト様にも勉学の一環ですとか言って、強制的に見せてみようかなと思ってたのよ。
「読まないで返すなんてことはしない」
「じゃ、後で続き持ってくるね」
ヴォルクが気に入るんなんて、やっぱり趣味、合うのかもしれない?
「続き?終わってたじゃないか。最後のページに完って書いてあったぞ」
「あの話はあれで終わりだけど、別の視点の続編が出てるのよ」
このまま引きこんでやる、フフフ……。
「DVDも観る?かっこいいのよ。機体とか武器とか。私は基本的にシンプルな武器が好きなんだけど、あそこまでゴテゴテいろいろ付いてると、あれはあれでいいわ。使い難そうとかいうのは、もうどうでもいいかもって思っちゃう。それは科学でクリアすればいいってことだもんね。専門じゃないけど、いつかあれに出てた機体を作るのが夢なのよ」
「それならその機体の方を作ればいいじゃないか」
「それもいつか作るけど、今、私が興味を持っているのは、ヴォルクなの」
猫耳獣人ベイベよ!
ふさふさの毛とか、もさもさの手触り。
コロコロの猫耳。
「え?」
「ヴォルクの研究に、人工子宮が必要だから作るの」
「俺が、ちゃんとした人間じゃないからか……?」
「え?」
ヴォルク?
何を言っているのかしら?
「俺がこんな中途半端な獣人だから……、だから、そんな実験に使ってもいいって思ったのか?」
「そんな……。そんなこと思ってない!」
あ、ヴォルクの地雷か?
まっずいこと言っちゃったのかしら。
「もし、俺がまっとうな人間だったら、マリアンヌ殿はこんなこと、言ってなかっただろう?」
「え……」
やば、猫耳の獣人ベイベのことがばれたらまずいよね。
ってか、ヴォルクが普通の人間だったら、愛くるしい、猫耳の獣人ベイベにならないじゃない。
そんなの却下よ。
「協力はできない……」
なんですって?
私の愛くるしい猫耳獣人ベイベ計画が崩れるじゃない。
「違う!私はヴォルクが獣人だから実験してもいいなんて、思ってない!」
もう、なんでそうなるのかな?
私は純粋に、愛くるしい猫耳獣人ベイベが欲しいだけなのに!
「……もし成功しても、獣人の血を引き、不完全な個体としてしか生きられないんだ」
「不完全な個体?」
何を言ってるの?
獣人って、獣になれたり人間になれたり便利じゃない。
理解不能だわ。
「獣人は、完全な人間ではない。人間から見れば、モンスターなんだよ」
「私は、ヴォルクをモンスターだなんて、思ってないわ」
「人の時は、普通の人間と変わらない。だが、獣の時は、力は強くなるし、嗅覚も聴覚も人の何百倍も良くなる。それをモン
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