大会。

大会当日。

今日まで、俺はできるだけ“先輩”を避けてきた。


・・・・・つもり。

けど、“先輩”は普通に喋りかけてくるから、避けたくても無理だった。

「先輩、頑張ってくださいね。僕、応援してますから」

「ありがと、神田くん。
終わったら神田くんの方見に行けたら行くからね!」

そんなことを目の前で話してる2人。

あとちょっとで“先輩”の番だ。


「じゃあ行くね。
千葉君も頑張ってね!」

「・・・・あぁ・・・」

なんて言ったらいいのか分からず、俺は目をそらしてそう答えた。
“先輩”が去った後、神田が俺に話しかけてくる。

「先輩ならきっと1位とれるよな」

「・・・さあ・・・」

「千葉、なんかおかしいぞ?
どうしたんだよ」

やっぱり、神田はなんでもお見通し。
でも本当のことは言えないしな。

「ふつーだよ。俺、あっちで休んでくるな」

そう言うと、神田は“先輩”の走りを見に行ったみたいだ。
俺は、休憩しようと思った。
けど足だけは“先輩”の方へと向かう。

その瞬間、少し離れたところで“先輩”が走っていくのが見えた。
・・・やっぱり、1位をとったらしい。


さて、次は俺だ。
神田もそうだから、たぶん“先輩”は神田の方を見に行くだろうな。





走り終えると、“先輩”が来た。

「千葉くん!見てたよ、凄かったね〜!」
・・・見てた?
神田じゃなくて、俺の方を見に来てくれたのか?
「・・・アンタも、凄かったじゃん」

「え?私の見ててくれたの?」


・・・やば・・・。

「たまたまだよ・・・」



心臓が、破裂しそう。



やっぱり、コイツはむかつく。
10/07/22 02:39更新 / あや

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