彼女は地面に落ちたヒコーキをそっと拾い上げた。
「これ…あなたの?」
女の子らしい可愛い声で僕に尋ねた。
「そうだよ。拾ってくれてありがとう。」
僕も彼女に子供らしく笑いかけた。
「どういたしましてっ!」
女の子らしい可愛い声で僕に尋ねた。
その時の彼女は、とても純粋で無垢で
穢いことなんて何も知らないような…そんな笑顔を僕に向けた。
……だからかな。
ふと悪い考えが僕の頭を過った。
この毎日かならずくる放課後。
思い出すのは彼女と過ごした日々。
そしてアイツにだけ見せたあの笑顔。
一人毎日読む本は一冊二冊と増えていくけど、
そこにあるのは虚無感と劣等感だけ。
もう…うんざりだった。
だから僕は、気を紛らわせる物……そう。
“おもちゃ”が欲しかった。
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