いつもと同じ森。
この森には、僕みたいに沢山の妖怪が住んでいる。
だけどその静かな森も、この頃は騒がしい。
何でも森の近くに学校が出来るらしい。
【水無月】
「どんな学校が出来るのかなぁ?」
そんな事ばかりが頭の中をグルグル回る。
【???】
「おやぁ?水無月どうしたんだい?」
頭の周りを渦巻きが回っている僕に、不思議そうに声を掛けたのは紅緒《べにお》さんだった。
この森では一番美人と評判の妖怪で、僕の面倒をよく見てくれる。
【水無月】
「あのね、どんな学校が出来るのかなぁって、どんな人間が来るのかなぁって、いろーんな事を考えてたの」
そんな僕に、紅緒さんは微笑みながら言った。
【紅緒】
「そうかい。でもお気を付けよ?人間の中には優しいのもいるけど、凶暴なのもいるんだからさ」
【水無月】
「うん!気を付けるね!」
【紅緒】
「よしよし」
紅緒さんは僕の頭をグリグリ撫でると、「またね」と言って、去っていった。
僕は人間に会いたい訳じゃないけど、やっぱり少しは気になる。
【水無月】
「ほんとにどんな学校が出来るのかなぁ?」
そしたらちょっと悪戯しちゃおうかな、なんて考えながら、草の上をコロコロ。
だけど僕は知らなかった。
これから本当に人間に会えるなんて。
三月五日
きょうはべにおさんと、あたらしくできるがっこうのはなしをいーっぱいした。
どんなにんげんがくるかな?
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