この国で過ごすクリスマスも、これで最後だ。
私は、宮廷のみんながクリスマスパーティーをしているのをぼんやりと眺めていた。
みんな、クリスマスだからだろう。小さい子供のようにはしゃいで、笑い合っている。
いつからだろう。
私は、シュイエのことを宮廷の庭師としてではなく、1人の異性として見るようになっていた・・・
でも、私は年が明ければこの国を出て行くのだ。
なのに・・・
まだ思いを捨て切れないでいる。
いたたまれなくなって、外に出た。
庭園のベンチに座っていると、高ぶった気持ちが冷めてゆく。
何分位そうしていただろうか。
誰かの声が、後ろから聞こえた。
「あや・・・様・・?」遠慮がちな声。
この声は・・・何度も聞いた事がある、愛しい人の声。
「シュイエ・・・!?」
そう、シュイエが立っていた。
「シュイエ、どうしてここに?」
「俺・・・俺、あや様が国を出るって知らされて」
そう、みんなにはもう、言ってあった。
しかしシュイエだけはその場に居なかった・・・。
「だから俺、プレゼントを・・・」
プレゼント?
「スターチスっていう花です。」
シュイエの腕の中にあるその花が、とても羨ましかった。
「あや様・・・俺、あや様が好きです!!」
!?
「なっ・・・なんで・・」
「スターチスの花言葉、知ってますか?」
そんなの、知らないけど・・・
「永久不変っていうんですよ。
俺、あや様が帰って来るまで待ってます!!だから、だから・・・」
必ず帰って来て下さい。
それがシュイエの言葉だった。
あれから4年・・・
「この国をもう一回訪れる事が出来るなんて・・・」
私は、アドラス国の大地を踏みしめていた。
私には、会う人がいる・・・・
「シュイエ!」
「あや様・・・!?」
「約束したとおり、帰ってきたよ!
はい、私からのプレゼント。」
「スターチスの花・・・」
永遠に愛し続けます。
私と、結婚して下さい。
End
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