連載小説
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少佐
…イエ…

…ュイエ…

「シュイエ!!」

気がつくと目の前にイリス様がいた…気がした

ここはどこかの部屋だった

窓からは雨が激しく降っていたのが見えた

これは…夢か…?

「シュイエ!よかったあ!気がついたんだね!」

ああ
今まで夢を見ていたのか…

「イリス…様?」

やっぱりイリス様だった
髪がほんのり湿っていてほのかにシャンプーの香りがした

「うん!そうだよ!」

後ろに少佐もいた
…ここはイリス様の部屋?

「オレは…いったい…」
「起きちゃだめ!」

体を起こしながらそう聞くと
全てを言い終わる前にベッドに押し戻された

「昨日からずっとカッパも着ずにこんな大雨の中仕事して
 倒れても当たり前だよ!」

倒れた…のか…?

「さっき熱も測ったんだけど39度もあったんだよ!?
 無理しないで!」

「は、はい!」

イリス様がものすごい剣幕で怒っていた

「風邪ですんだからいいけど…
 風邪でも下手したら死んじゃうかもしれないんだよ!?
 体を冷やしてアトピー性皮膚炎や自律神経失調症になったり
 倦怠感やめまいや吐き気、動機や腰痛、偏頭痛もちの
 体になるかもしれないんだよ!それにっ…そっれに……」
「イリス殿」

不意に
今まで黙っていた少佐が口を挟んだ

「お話の途中で申し訳ありませんが、
 仮にも病人相手に大声で怒鳴り続けるのはいかがなものかと…」

「そ、そうだっね…ごっめん、シュッイエ…」

感情を一気に吐き出してイリス様は嗚咽を漏らしていた

「イリス殿、こちらへ…」

「う、うん…っ…あっりがと、エグザ…」

少佐はイリス様を奥のソファに連れて行った

今まで気づかなかったが
オレの服は清潔なものに着替えさせられていた

少佐はしばらくして戻ってくると
手ごろな椅子をベッドの近くに寄せて座った

「あの…少佐…」
「教授がこのベッドで休ませるように、とのことだ」

少佐はオレが言いたかったことを見越してか
そう言った

「ですが…」
「勝手に追い出したとなると私が教授に怒られるからな
 あれですごく頑固な人なんだ。
 …今回は特別だ。ゆっくり休みなさい」

イリス様のことを話すときの少佐は少し楽しそうだった

「はあ…ありがとうございます」
「礼なら教授に言いなさい」

そう言って少佐は立ち上がるとイリス様のほうへ歩き出した

「はい、すみません」

そう答えると
少佐は足を止めた

「あと…」
「あと?」

少佐はそう言いかけるとオレを一瞥し
また歩き出すと言った


「私は中佐だ」
11/05/02 22:40更新 /
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■作者メッセージ
5月2日に感想をくださったレイラ様
読んでくださってありがとうございます!
興味を誘う内容と言って下さりとても嬉しいです^^
応援ありがとうございます!
最後まで頑張ります!!

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