連載小説
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婚約者がいるとしよう


それは





私にとってかけがえのないもので





大切な






思い出

























「先生は…もうここには慣れましたか?」


『え?』



第三皇子アルト様の個人教授となってから半年が過ぎた





『そう…ですね、慣れたといいますか。順応しちゃってます』


「先生らしい」


『急にどうなされたんですか?』


「いえ別に、ただ先生が来てから半年が過ぎたんだなと思って」


『本当ですね。けど、アルト様は覚えるのが早いから、私なんて1年もしないで帰されそうですよ』


「そんなことはない!余は先生にまだ教わりたいことがたくさんあるし、先生にはずっとここにいてほしい!」


『ア、アルト様?冗談ですよ……』


「……っ!いや…今のは……」





今ではアルト様とこんな風に話せるようになった






『ありがとうございます。そのお気持ちとっても嬉しいです』


「先生……」


『えっと次は―――』




そして毎日が冒険。





ほら今日も









「アっルトぉーーー!」



『え?』



「フィ……」



突如入ってきた少女はアルト様に思いっきり抱きついた




「んもー!会いたかったわよーアルト!」


『だ、大丈夫ですかアルト様?』



すると、少女が私を睨む








「誰?このブス」



『ブ……』



「フィーナ!先生になんてことを!」


「ねぇアルト!なんなのこの女!」


『えと…アルト様の個人教授をしてます。雪凪です』


「あっそう。私はアルトのフィアンセ。
そこまで言えば先生なら分かるでしょ?さぁ、さっさとブスは出て行って頂戴」



いえいえ、全然理解できませんけど




『邪魔なのはなんとなくわかりますけど……』



「先生は出ていかなくていい。ソロレス!」






アルト様がソロレスさんの名前を呼ぶと、部屋の中に入ってきた





そしてフィーナと呼ばれる少女を持ち上げた




「あっ!ちょっと何するのよソロレス!私を誰だと思ってるのよ!」


「申し訳ございません。ただいまアルト様は授業中ですので。また後ほど」


「嫌・よ!放しなさーい!」




そしてそのまま部屋を出て行った。まだ扉の向こうから声がする





「先生すまない」


『いや、そんな謝らないで下さい。私の方こそお邪魔でしたら出ていきますけど』


「邪魔なんてことはない。余は先生との時間の方が大切だ」


『そうですか?でも、あの子可愛らしい人でしたね。私なんてブスって言われてましたし』



思わず苦笑い出る。しかし私の手をアルト様はおもいっきり掴んだ




「先生は綺麗だ!優しいし、頭もいい。それに何事にも一生懸命で、分からないことがあれば一緒に悩んでくれる。笑顔だって素敵で周りも元気になるし、余だって先生に初めて会ったときから……―――」


『ア、アルト様…近いです』





アルト様はハッと気づくとすかさず手を放した





「す、すまない」




『いえ……大丈夫です』








・・・・・・・・・・・













『……えーっと、授業しますか?』





「そ、そうだな」
12/03/28 17:26更新 / nayo
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