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徒然なる日々

久遠

INDEX

  • あらすじ
  • 01 森と海
  • 02 「悪い」運勢〜1〜
  • 03 「悪い」運勢〜2〜
  • 04 「悪い」運勢〜3〜
  • 05 「悪い」運勢〜4〜
  • 06 「悪い」運勢〜5〜
  • 07 「悪い」運勢〜6〜
  • 08 風
  • 09 小さき悪魔
  • 「悪い」運勢〜2〜


     
     「オリアス、あの香水使ってくれてる?」
     「ああ、まあ」
     「そう?でも、やっぱりさすがに毎日はつけてないのね……」
     「…香水を使う、という習慣が今までないからな」
     「え?そうなの?」
     「なんだ、何でそこで驚く」
     「だってオリアス、いつも何かいい香りがするんだもの」
     「……そうか?」
     クンクンと軽く自分を匂ってみるが、とくに何も香りはしない。
     「何も匂わないが…」
     「そう?軽くだけど、甘い匂いするよ?ちょっと苦めの」
     「……」
     そう言われても、自分の持ち物中には「香水」というものはない。
     中々好みの香りがなく、この近辺。この州、この国には匂いの、香りの「強い」ものしかなく。どれも少し嗅いだだけで頭が痛くなってしまう。
     そう思いを巡らせていると、ふと。ある1つのものが思い浮かんだ。
     「…もしかしたら、アロマキャンドルの香りかもな」
     「アロマキャンドル?」
     「ああ。店の方で客の精神状態を安定させるために使っているんだ。照明の一部として」
     「あのちっちゃなテーブルに乗っていたキャンドル?」
     「そうだ」
     店のインテリアの一部として、そして実用的な意味合いとして使っているアロマキャンドル。その近くで占っているため服にも、体にもその匂いが移ったのだろう。
     「そっか。どうりで甘いけど、苦い匂いも香ってるわけね」
     「そうだろう」
     「でもたまには私の作った香水も使ってね?」
     「ああ」
     「ありがとう」
     お互いの目的地の中間地点まできた。
     昼もすぎていた時にお昼を移動して食べ、しばらく歩いていたため空はすでに茜空に染まっていた。つつと、紫紺が空を覆い始めている。
     「ここで大丈夫か?」
     「うん。オリアス、今日は悪い運勢じゃなかったわ。むしろ、良い一日だった」
     「……そうか」
     「うん。オリアス今日はありがとう、じゃあね」
     「ああ」

     *

     オリアスと別れた後、1人今は亡きお師匠から受け継いだ香水店「 Lucifer's Garden 」へと足を進めた。
     きっと今頃、キアが店番をして待ってくれている。
     「…結構時間経っちゃったからなぁ」
     (――――怒られる、かな)
     少し気持ち早めに歩みを進め、空が暗く一番星が輝き始めた時。
     店まであと300mというところまで来た時。
     「っ!!」

    10/09/25 22:36 久遠   

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