連載小説
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ヴォルク視点
ったく。
あれほど勝手に城内から出るなと、言っておいてあるのに。
小百合ほど、身勝手な女は初めてだ。






今日は天気もいい。
いつも、アルト様のために研究をなさったりしているのだから、
たまには、庭で散歩でもした方が体にもいいだろう。
万が一のことを考えて、俺がこっそり護衛しながらだが。

「はあ。何してんだろ、俺」

あーだ、こーだと理由をつけてはいるが、
ただ単に小百合と一緒に居たいだけなのだ。
護衛と称しては、しょっちゅう小百合を探す。
まるで、ストーカーじゃねえか。






トントン
「俺だ、小百合はいるか?」

すぐに、エグザがドアを開ける。
「ヴォルク殿!小百合殿は、庭に散歩に行かれました!」

「・・・何!? あの、バカ女。勝手に出るなと言っただろうが」

「・・・散歩を勧めたのは、私であります!庭ぐらいならよろしいかと」

「お前っ。今の状況を分かっているのか!」


小百合がここに来てから、研究の成果は目覚ましく
隣接諸国からの引き抜きが絶えない。
最近は、武力行使の話も多く不穏な話が絶えない。
前なら庭くらいは問題ないが、今は何とも言えない。

小百合は、
「私はここの国にいるよ?アルト様もお優しいし、
ヴォルクや、みんなが好きだから」
軽くそう言ってのけた。


その時からだ。
俺が、小百合を気にかけるようになったのは。
12/01/06 11:03更新 / maki
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