連載小説
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小百合視点
私は、お花をゆっくり眺めて気分がよくなっていた。

「・・・小百合様?」
シュイエはいつでも私のことを『小百合様』と呼ぶ。

私は、様をつけられて呼ばれたくない。そんな偉い人じゃないし、距離を感じちゃうから。
だから、私はわざと聞こえないふりをした。

「・・・あの、小百合様。」
シュイエは困った顔をしてこちらを見つめてくる。
シュイエの瞳はとてもきれいで、こちらを見ている表情が可愛すぎて、思わず返事をした。
「何?シュイエ」
「何を歌っているのですか?」


どうやら、鼻歌を歌っていたらしい。
残念ながら、鼻歌だったので覚えていない。
しょうがなく、ごまかすことにした。


「シュイエ!」
私はわざと大きめで凛とした声を出した。
「は、はい!何でしょうか小百合様。先ほどのことですか?お気にさわったので・・・」
私は遮った。
「ストップ、ストップ!!」
シュイエは真剣に困った顔をし始めた。
「私に様をつけて呼ぶの止めてくれない?」
「ですが、小百合様とは身分が違います。」

私はわざとそっぽを向いた。
「・・・小百合様」

シュイエが私を小百合様って呼ぶ間は、返事しないもん。


しばらくして、シュイエは観念したように、少し困ったように私を呼んだ。
「小百合さ、さゆ・・・、小百合?」
私は振り返って満面の笑みで言った。
「よくできました、シュイエ」
シュイエは赤くなった。
「可愛いー!!」
私は笑いながらシュイエを見つめた。
シュイエが何か言おうとしたとき、後ろで声がした。


「小百合!」

あ、ヴォルクだ。


11/04/02 21:35更新 / maki
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