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Aster tataricus

Sion

INDEX

  • あらすじ
  • 01 ーRe Firstー
  • 02 ーFirst Enconterー
  • 03 ーSecond Introductionー
  • ーSecond Introductionー

    馬車の外の窓には澄んだ空と、田園ののどかな風景が広がっていた。
    ヴォルク様によると、あと1、2時間で目的地に着くらしい。
    頭の中ではそんな事を表層で巡らしつつ、別の事を考えていた。

    今更だけど、こんな、ちゃんとしたお嬢様ではない自分で、宮殿でやっていけるだろうか。
    実は、あのくそじじいの教授は、絵に描いたようなお淑やかで教養がある良いトコロのお嬢様として紹介してしまったのらしい。
    だから、本当は全く違った変わり種のじゃじゃ馬だという事がばれたらやばいんじゃなかろうか。
    リシテアの礼儀作法は一通り練習してきたが、何かヘマをやらかしてしまいそうで怖い。もともと武術の練習ばかりでこういう礼儀作法だの、お稽古だのお嬢様としての教養でやる事はあまりやりたく無かったから、大体の物は最低限しかやって来なかったのである。
    まさか、こんな所に跳ね返ってくるなんて。
    うぅ、考えれば考えるほど不安になってきた・・・・・。









    そうやってぐるぐる考えている内に、目的地に着いてしまった。
    馬車から降りる際にヴォルク様に降りるのを手伝ってもらい、そして
    私の荷物を持ってもらってしまった。手伝ってもらったのが申し訳なくて、
    「わざわざすみません、有難うございます。」と言うと、
    「いや、これが自分のお勤めですから。」と素っ気なく返された。
    それからヴォルク様とは、護衛の任を終えたのでそこで別れて、案内人の人のあとについて行き、これから個人教授の自分が暮らすと言う屋敷に向かって歩いていた。
    すると途中で突然、案内人だという男性のある所に目が行った。
    尖った耳である。多分、人間ではない、別の種族の方ではなかろうか。そう考えていると、余程自分は相手を見ていたのだろうか、不意に案内人の男性が自分の方を振り返った。
    「何か?」
    「あ、いえ、何でもないです。」
    私がそう答えると、案内人の男性は少し考える仕草をして、
    「あぁ、もしかしてエルフが珍しいのでしょうか?」
    ズバリ図星だったので、驚いて私は動揺しまくりだった。
    「あ、えっ、えと、はい。すみません、こちらの国にも人ではない方達がいらっしゃるんだなぁ、と思って。」
    「ええ、そうですよ。私の様に、エルフや獣人やヴァンパイアなど、人ではない種族がこの国には存在して、普通に暮らしているのですよ。」
    「そうなんですか。私の国にもそういう方達はいらっしゃいますが、
    私達とは違う時間帯、地域で暮らしているので、中々逢えないんです。」
    「そうでしたか。そういえば、私とした事が自己紹介を忘れていました。第三王子の教育係の、ソロレスと申します。以後お見知り置きを。」
    「この度個人教授の任につきましたシオン・ファーウェルです。これから宜しくお願い致します。」
    自己紹介を終えたあと、私はその言葉を聞いてある事に気が付いた。何故第三王子の教育係とい役職の方が私の案内を?
    私の様子を見て考えている事が分かったのか、ソロレスという教育係の男性はその顔に微笑みを浮かべながら話し始めた。
    「実は、王子に今回の個人教授がどういう人なのか見て来て欲しい、と頼まれたのです。第三王子の場合、今回の様に遠方の外国の方から個人教授をお招きするのは初めてですから。ですが、聡明で優しそうなお方で安心しました。」
    「そうだったんですか。それなら期待に答えられるように頑張らなきゃいけないですね。」
    そういう事だったのか。確かに、これから一緒にやっていく先生がどういう風な人なのか気になるもんだよね。






    そうこうソロレス様と話している内に屋敷に着いた。
    その屋敷は、結構大きかった。だが、手入れが隅々まで行き届いている事が分かる。多分、自分が住んでた建物よりかなり大きいだろう。
    屋敷に入ると、一人のメイドが立っていて、こちらを見てお辞儀をした。
    「こちらのメイドは、これから貴方の身の回りの御世話を担当する者です。」
    「シオン殿の御世話を担当させて頂くエグザと申します。」
    ソロレス様が紹介すると、凄く真面目そうな顔でエグザという人が自己紹介をし、もう一度お辞儀をした。
    「シオン・ファーウェルです。これから宜しくお願いします、エグザさん。」

    その日は、持ってきた荷物を片付けて、ソロレス様の言うとおりに早めに休んだ。










    「シオン殿、おはようございます!朝ごはんが出来ているであります。」
    急に聞こえて来た声に吃驚してしまった。
    「んん?あ、もう朝なんですね。おはようございます、エグザさん。」
    そっか。ここはリシテアの屋敷の中なんだ。
    エグザさんの真面目だけど変な言葉遣いの挨拶に、私は寝ぼけながら返事をする。
    すると、エグザさんは
    「エグザで結構であります。あと丁寧なお言葉遣いでお気を使わないで良いのであります。自分はメイドですので。」と言った。
    良いんだろうか。年は多分、同じ位だと思うけれど、呼び捨てなんかで。でも、これから過ごしていくならさん付けとか、丁寧なのははよそよそしいかも。メイドさんとしての立場もあるだろうし、まぁいいのかな。
    「うん、分かった。エグザ、これから宜しくね。」
    「こちらこそ宜しくであります、シオン殿!」



    朝食を食べた後、食後の紅茶を飲みながら午後からどういう授業をするか考えていた。今日は、初めてだからオリエンテーションと打ち合わせ程度で授業はそこまでする必要はない、と言われていたが、第三王子は勉強に関してとても熱心で、進んで書物で自学をする位勤勉なのだという。
    いくら何でも、授業をしないというのもいけない気がする。
    何をしたらいいか考えている内に、お日様は天辺に登ろうとしていた。
    「シオン殿、そろそろお時間であります。宮殿にいらっしゃるご支度を。」
    「あっ、もうこんな時間!? 急いで準備しなきゃ!」
    考えるのに集中し過ぎて時間を忘れていたらしい。慌てて準備を始めた。
    「行って来ます!」
    急いだおかげで何とか余裕を持って目的地に着けそうだ。
    屋敷を後にして宮殿へ向かった。

    12/02/26 01:16 Sion   

    ■作者メッセージ
    めちゃくちゃ間が開いちゃいました。すんませんn。・°°・(>_<)・°°・。
    作中にもありますが、主人公の国にも色んな種族がいる設定です。
    どんなのがいるかは今後書こうと思っています。
    ちなみに長くなりそうなんで、ーSecond Introductionーは二つに分けようと思います。ご了承くださいませ。


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