連載小説
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16
それからというもの、


私の部屋には毎日誰かが訪れに来てくれた





この間はレルム様がやってきてーー




「先生ー、お見舞いにきたよー」


『レ、レルム様!?』


「あはははっ、驚いた?」


『驚きますよ!だって、レルム様が私の部屋に来るのなんて初めてじゃないですか。それにこんなところまで出向いて下さるなんて、、、あ!今お茶を!』


「あーいいよー気を使わなくて。僕直ぐ帰らなきゃ行けないから。それにちゃんと寝てなきゃ駄目」



『そうなんですけど。寝てばかりいるのはちょっと、、』


「ふーん。じゃあ僕が添い寝してあげたら、気分も変わる?」

『えっ?……って、レルム様!!』


いつの間にか、私のベッドに浸入するや、そこには青年姿のレルム様がいた

『ど、どうして大人になるんですか!?』

「えー?だってこの姿じゃないと先生抱きしめられないじゃん」


そういって、ぎゅうと抱き締めてくる。



『抱き締める必要も添い寝も入りませんから!!』





***************************




「雪凪、体の調子はどうだい?」


その日はイレールとイーヴが訪れてきた


『二人とも、忙しいのに来てくれたんだ、ごめんね』


「どうして、謝るんだ?」

「そうだよ。雪凪は僕たちの大切な友人なんだから。当たり前だよ」


大切な友人だと言ってくれたことに、胸が暖かくなる

『うん。ありがとう』

そう返すと二人は優しく微笑んでくれた


「といっても、兄さんの場合、雪凪は友人じゃないもんねぇ?」

「!!」


『えっ?』


「イレール、、、突然何を言いだすんだ」


「えー、何って兄さんが雪凪のことをすーーー」

イレールが全てを言い終わらないうちにイーヴが手で口を塞いだ


『そっか、、、私だけだったんだね。イーヴのことも友人だと思ってたのは。迷惑だったよね』

「違う!」

『でも、イレールが、、、』

「イレールが言っていたことは気にしないでほしい。雪凪が俺のことを友人だって思ってくれて嬉しいに決まっている」

『本当?』

「ああ。それに、俺にとって雪凪は友人以上に大切な存在だ。雪凪が笑うだけで俺は幸せな気分になる」

イーヴが真っ直ぐな目で私を見つめる

『、、、そっか。よかった。私もね友人以上思ってたんだ』

私も、視線を真っ直ぐに合わせる


『二人の事はね。わたしにとって兄的な存在だよ』

そう言うと。いつの間にか解放されていたイレールが笑い出した


「っはははは!兄ね!成る程!」

「・・・・」

『えっ!!どうして笑うの?イーヴ固まってるけど大丈夫?』

「いやいや、ごめんごめん!まさかそんな答えが返ってくるとは想像してなかったから」


一体どんな答えを期待していたのだろうか?


「まだ、友人の方が良かったな、、、」

「まあまあ、兄さん。今はそれで辛抱しよう」

その日

私が抱いた疑問は解けないまま終わったのだったーーーー



*********************





夕方、窓を叩く音に目が覚める


『?誰だろう、、、』


不思議に思いながら窓を開けると、そこには思いがけない人物がいた。


『えっリオ?!』

「なんだ、思ってる以上に元気じゃないか」


窓を開けるやいなや、部屋にそのまま入ってきた


『って普通にドアから入ってくればいいじゃないですか』

「窓から入った方が早いだろう。ほら」


そう言って差し出してきたのは可愛らしい顔をしたウサギのぬいぐるみだった



『これ、私にですか?』

「他にだれがいる。早く受け取れ」

『わぁありがとうございます』

「まだある」

『はい?』

と、尋ねると同時に。次から次へと私のベッドの上に物が置かれていく。

どこからこんなに物を出してあるのかよくよく見てみれば、窓の外に大きな、、、サンタクロースが持っていそうな袋があった


『リ、リオ、これ全部私に渡すものでは無いですよね?』


「何を言ってる。全部お前のだ。お前が好きそうな物を全部買ってきた。見舞いなんて初めてだからな。何を持って行こうか悩んだ挙句、全部にした」


『そ、そんなに入りません!』

「なんだと?俺からの見舞いの品が受け取れないのか?」

やや不満気にリオが聞き返す


『そういうことではなくて、こんなに沢山の品、申し訳なくて受け取れません』

「別に気にする必要はない。俺が勝手にしたことだ。お前はありがたく全部受け取れ」


『ですが、、』


「拒否権はない。大体どれだけお前は心配かけたと思ってるんだ。幸い、それ程高くない崖から落ちたらから良かったものを。お前の姿を見たとき、俺は心臓が止まるかと思ったんだぞ!」

『、、、申し訳ないです』


「申し訳ないと思ってるなら、全部受け取れ」


私は断る術もなく、ありがたく受け取ることにした



『分かりました。ありがとうございます』

「フッ。素直でよろしい」


『それにしても、私の好きなものをよくご存知ですね』


すると、リオは視線を彷徨わせた


「べ、べべべつに。当たり障りのない物を買ってきただけだ。女はこう言ったものが好きなのだろう!」


そうかもしれないが。私はかなりマニアックな方なので、趣味嗜好が結構合わなかったりする

好きな香水も無名なものを使っているし、食べ物も干物系が好きなのだが、ちゃっかりあるし。


『あ、これ。私が買うかどうか悩んでいたやつだ』


それは、洋服屋に行った時に気に入った服だったのだが、値段が高く諦めたものだった


「ああ。お前が悩んで結局買わなかったやつだ。似合っていたのに何故買わなかったんだ?」

『えっ?なんでそのこと知ってるんですか?』


しまった、という表情に変わる。


まるで見ていたかのようにいっていたが、まさか。

けど、このことは誰にも話していない。


「いや、違う。勘違いをするな、たまたま、お前を見かけて」

『もしかして、私のことをつけてましたね?』


そう考えると自然だ。


だいたいの物が私が買っているお店と同じ所。


エグザに聞いたとしても、ここまで一緒になるわけがない。



『リーオー!!』

「悪いのはお前だろう!いつも一人で出かけて危なっかしいから仕方なく、、、」

『変態!!』



私は力一杯、ぬいぐるみを投げつけた。













15/04/08 22:38更新 / nayo2
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