晴れ時々、雨。 01 02 03 04 05

笑顔時々、涙。2

手を合わせ片目だけを瞑った状態の私は
申し訳なさそうにセルトを見ていた





『まぁ、わかっているなら直せ。』





「はぁい...」





『毎朝毎朝、顔を扉に打つのは勘弁だ..』





「避ければいいんだよ..」





『人の顔面強打しといて、その態度か..』





「うっ....ごめんって」




セルトが扉に顔をぶつけるのは
毎朝私のせいで...夜寝ると次の日には
昨日あったことなど綺麗サッパリ忘れてしまい
時間に余裕があっても遅刻しそうでも
セルトが部屋に訪れる度、鈍い音が響く..





『...で、晩飯は食うのか?』





「あ、うん。お願いー」




今日もセルトは許してくれたけど
いつ口を利かなくなっても可笑しくない..

カウンターで一人晩御飯を作ってくれる姿を
私は少し離れたテーブルに腰を掛け見詰めていた





あ、そういえばミルズさんは..
セルトのことに夢中で気づかなかったが
ミルズさんの姿が見えない。





「セルトっ、ミルズさんはぁ?」

料理中でも構わず、セルトの元に駆け寄ると
顔を覗き込むようにして尋ねた


少し顔を逸らして

『知らねぇよ、部屋にでもいるんじゃねぇか?』

と、教えてくれたけど..
セルトの顔が少し赤い様な気もした..





「そっか、ありがと!じゃ私ちょっと見てくる」

ミルズさんの部屋を目指し駆け足で離れていく私に





『晩飯できるまでに戻って来いよ。』

と、声をかけてくれた。
私はそれに答えるように頷きながら
ミルズさんの部屋に向かった





コンコン、と扉を叩くも返事がない..

あれ?おかしいなぁ..部屋じゃなきゃどこにいるんだろ?
セルトになんにも言わないでお出かけとか..?
うーん..それはない気がする。





「えっと、ミルズさん?入りますよー?」





ちょっと強引だとは思ったが返事がないまま
部屋の扉に手をかけた。





『...すー、すー..』





「あ、ミルズさん寝てたんだ..可愛い寝顔ー」





机に突っ伏し、子供みたいに眠るミルズさんを見詰めてると
後ろから声がした





『おい、飯できたんだが..?』

そう言うセルトは機嫌がわるそうだ..
せっかく仲直りしたのになぁ





「あ、うん。今行くよ」

可愛いミルズさんの頭をふわっとひと撫でし
部屋を後にすると
テーブルにいつもどおりおいしそうな
料理が並べられていた





「わぁ、おいしそうだねぇ。ありがとっセルト」





『あぁ、別にいつものことだろ..
で、兄貴の部屋で何してたんだよ?』





「いただきますっ。ん?ミルズさん呼んでも返事なくて
部屋の中覗いてみたら寝てたみたいで、
凄く可愛かったよー寝顔。」

並べられた料理に手をつけながら
そう言ってさっきの出来事を話してあげた。





『そうかよ..、兄貴も男なんだしむやみやたらと
部屋に入ったりくっついたりすんなよ?』





「んっ、うん。わかったぁ..」




口の中に含んでいた食べ物を飲み込み
そう返しながら、頷いてやるも
いまだにセルトは不機嫌そうだ..





「あの、さ..私、なんかした..?」





『は?』





「何か、また..怒ってるみたいって感じだったから
私が何かしちゃったのかなー?みたいな。」





『そんなに怒った様に見えるか?別に
怒ってるつもりはないんだが..』





「え、嘘だよ!眉がこぅ..寄ってたし」

セルトの眉に指を伸ばし、わざと寄せながら
そう言ってみると、少しセルトは動揺してるみたい..?





『ば、馬鹿やめろっ!いいからお前は飯を食え。』


怒られてしまった..、まぁ言われるがまま
晩御飯の続きを食べ始めるも、セルトは黙ったまま....

本当に怒ってないのかなぁ...





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1日で2話書いてみました...
更新スピードはかなりゆっくりとしたものになると
思われますが...これからも書かせていただきます。


rainycandy.

12/10/10 21:47 雨の飴

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