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徒然なる日々

久遠

INDEX

  • あらすじ
  • 01 森と海
  • 02 「悪い」運勢〜1〜
  • 03 「悪い」運勢〜2〜
  • 04 「悪い」運勢〜3〜
  • 05 「悪い」運勢〜4〜
  • 06 「悪い」運勢〜5〜
  • 07 「悪い」運勢〜6〜
  • 08 風
  • 09 小さき悪魔
  • 森と海

     雰囲気を醸し出すためにわざと照明を落とした店内。
     仄かな光が点々と店内を淡く照らし、窓には分厚い黒いカーテンで部屋の風景がぼやけて映る。

     (……ハァ。まったく人間というのはどうしてこう、内装やら雰囲気やらを重要視しるのだろう。腕さえ確かなら、どこでやろうがどんな場所でやろうが変わらないだろうに)

     ――それは確かにその場所によって占いに影響する場合もあるか。


     今日もオリアスは、自分の店である「 Dawn Night 」の店内で占いの準備を既に終えて客が来るのを待っている。。
     フード付きのマントを身にまとい、白ひげを机の上にのせて腕を組みイスに憮然と座っている。

     世にいう「悪魔」は、陽の光がダメ。十字架がダメ。人間を襲う。
     などと言い知られているが。実際の悪魔はそんなことはない。
     陽の光も大丈夫だ。十字架だって触れられる。人間なんて襲わない。

     ……だが、確かに人間には悪影響を及ぼしてしまう存在ではあるが。


     「はぁ……。全く、あの腐った世界を見限ってこちらの世界にきたというのに」

     (どうして他の悪魔までやってくるのだろうか。おかげであっちとはまた違った疲れが……)


     っと、その時。カランカランと、店の玄関の扉についている鈴が鳴って人の訪れを知らせた。
     占い師の恰好をしようと白ひげに手を伸ばした時、入ってきた人間の気配を感じ取りその手を止めた。

     「……」
     「こんにちは、オリアス」
     「…なんだ、君か」
     「お店は…もう開いてるんだよね?」
     「そうだが」
     「ま、いいや。はい」
     「……なんだ、これは」
     「ん?私が作ったオリジナル香水が入ってるの。とにかく開けてみてよ」
     そうルリに促されるままに手渡された小袋をあけたオリアスは、コロンと手の平に転がった香水瓶を光にかざしてみた。
     「……色は、青。か?」
     「うん。香水瓶を青色にしようかなぁ、とか思ったんだけど。緑〜碧の薄い透明なグラデーションにして。そこからだんだん上に行けば濃くなるから。中を青色にして綺麗な色を作ろうと」
     「……」
     確かに強くした光に照らした香水瓶は、そこの方は青色で蓋のほうは濃い深緑になっている。
     「………良い香り、だな」
     「本当?良かった……」
     蓋を開けて嗅いだ香りは、強くなくクセもなく落ち着ける香りだった。
     そして不思議なのが、草…森のような匂いがするのに。かすかに潮の香りが漂ってくるのだ。
     「…この名前は?」
     「ああ、えっと。ローヴァス≠チていうの」
     「ローヴァス…か」
     もう一度蓋をあけて匂うと、とても心地いい香りが体を行きわたる。
     「じゃあ、用事はそれだけだから」
     「……ありがとう」
     「?……ううん、お邪魔してごめんね。気に入ってくれて、ありがとう」
     ルリはバイバイと手を振って店を出て行った。
     
     オリアスはテーブルの上に新しく置いた透明ガラスの器に、ルリから貰った香水瓶から1滴落とし。瓶は懐にしまった。

     ルリが出てから5分ほどして、人間の客がやってきた。

     

    10/08/13 23:24 久遠   

    ■作者メッセージ
    占いの館「 Dawn Night 」は、勿論思いっきり創作です。
    勿論オリアスの占い師姿も……。
    ただ単に、オリアス大好きなので。
    あのカッコいい顔を他の人に見られたくない…というか。
    ハイ、すみません。我儘です。
    まぁきっとオリアスは自分の容姿には無頓着。
    私の想像の姿をするとしたら、その方が都合がいいから。とか。

    あ、主人公の名前は「ルリ」で。日本語では「瑠璃」と書きます。
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