連載小説
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今日はやけに離宮が騒がしい
いつも穏やかな庭園にもその慌ただしさが伝わってくる

…そういえば今日は第三王子様の新たな個人教授様がいらっしゃる日だったか…
まあ王子様にせよその専属の教授様にせよ自分には縁のないことには変わりがないが…

「おい、庭園師」
「あ…はい、なんでしょう?」

振り向くと
いつもオレに言伝を伝えにくる中尉がそこにいた

「わかっているとは思うが、くれぐれも顔を出さないように。
 特に今はアルト王子の新しい教授が見えている。
 客人に不快な思いをさせてはならないからな!」
「はい、心得ております」

そう答えると中尉は去っていった

そんなこと言われなくてもわかってる
いつものことだし、その教授様に出会う確立なんて限られている
向こうからこちらを訪れない限り会う事なんてめったにないだろう

そう思い、特に気にすることなく
また植物の手入れに取り掛かった


――数日後

いつものようにオレは植物の手入れをしていた
もう離宮の慌ただしさはどこかへ行ってしまったようだった

不意に

バサッ!!

という音が近くでした
鳥が木から飛び立って行ったにしてはとても迫力のある音だった

その音のしたほうへ向かうと
そこには葉にまみれた一人の女性がそこにへたり込んでいた
どうやら木から落ちたらしい

「だ…大丈夫ですか?」

声をかけたら彼女は慌てた様子で立ちあがった

「え?あ!ごめんなさい!…庭師さんですよね?木をこんな風にしてしまって…」

オレの持っていた剪定ばさみで気づいたのか
しきりに謝ってきた

「あ…いえ、大丈夫です」

「本当にごめんなさい!!…あ!もうこんな時間!あのっまた改めてお詫びをさせてください!!   ではまた!」

そう言うなり彼女は慌しく帰っていった

本当に大丈夫なんだけどなあ
それにしても彼女はここでなにをしていたのだろうか

ふと木を見上げてみた

そこには鳥の巣とそこでピィピィ鳴く
雛がいた
11/03/01 16:54更新 /
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■作者メッセージ
2月28日に感想を下さった幟 梨緒様

読んでくださってありがとうございます!
お気遣い嬉しく思います^^
定期的に載せたいと思ってはいるのですが
なかなか難しいですね;
私は語学力に欠けるので
なかなか読みづらいとは思いますが
上手く完結できるよう
これからも頑張っていきたいと思います

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