連載小説
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写真家のパーティー
<公園の露天>

【葵】
「今日はまずまずの売れ行きだなー
 もう少ししたら帰ろう
 ……う、あれはもしや」

シーンバインが近づいて来た

【シーンバイン】
「こんにちは、葵さん
 売れ行きはいかがですか」

【葵】
「…おかげさまで、まあまあですよ」

【シーンバイン】
「ふふ、それはそれは。
 貴女の作品でしたらいつでも
 私の会社で取り扱わせていただきますよ。
 ああ…今日はそんな話ではなく…
 明日の夜、パーティーへ参加する気はありませんか?」

【葵】
「はい?パーティー?
 いいえ、間に合ってます」

【シーンバイン】
「おや、いいんですか?
 そのパーティーには世界中の名だたる写真家が
 集まるのですよ。
 立食ですから、自由に歓談できます。
 憧れの作家と直接会話ができるのですよ」

【葵】
「なっ!!(い、行きたい!!)」

【シーンバイン】
「さあ…どうなさいますか?
 ああ、カジュアルな場ではありませんから
 服装等、それなりに整えないといけませんが
 その点はご心配なく
 私の方でご用意いたします」

【葵】
「…そのパーティーって
 シーンバインさんも行かれるんですよね…」

【シーンバイン】
「もちろん。招待されているのは私です。
 私の連れが貴女ということです」

【葵】
「くっ………!!」

シーンバインは薄ら笑いを浮かべながら
葵の顔を見ている

【葵】
「い……行きません!!
 彼方に借りを作りたくありません!」

【シーンバイン】
「…ふふっ強情な方だ。
 まあ、いいでしょう
 では、またの機会に」

シーンバインは人ごみに消えた

【葵】
「ううう…行きたかったけど
 シーンバインと行くくらいなら
 行かないほうがましだ!!」




<次の日の朝>

【葵】
「おはよう〜…セルト」

【セルト】
「ああ、おはようアオイ
 郵便受けにこんなものが入っていたぞ」

セルトは葵に、封筒を差し出した
葵はそれを受け取ると、怪訝そうに封を開ける。
そこにはカードとチケットが入っていた

『残念ながら私は、急用で行かれなくなりました。
 参加しないのも失礼ですので
 どうぞ貴女とお友達でご参加ください』

【葵】
「…え!!いいの!?
 行けるんだ!!」

【セルト】
「は? どうしたんだよ?」

葵は昨日のことをセルトに説明した

【葵】
「セルト、一緒に行こう!」

【セルト】
「そんな貴重な機会なら
 そういうのに興味がある奴のがいいんじゃないか
 俺は店もあるしな」

【葵】
「それもそうだね。
 じゃあ、ケスタロージャさん誘ってみよう。
 今日の夜なんて急だけど」
 

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