ーFirst Enconterー
客船での旅を終えて、やっと王都の手前の港町に着く。
船を降りると、船着場の程近くに、やたらに、と言えば大袈裟かもしれないが、
結構目立つ1人の男性が立っていた。
背がかなり高いからではない。 背が高い人は港で働いている男達の中で意外といないこともない。
軍服を着ているからではない。
ここは王都の手前の港町。軍事的にいえば、かなり重要な地点ではある。
だから、この国の軍人がいる事は、おそらく何の不思議もないだろう。
もしかして、自分だけなのだろうか。この強いプレッシャーを感じるのは。
背筋がゾクッとし、冷や汗を掻く寸前の状態である。
気配、とでも言うべきだろうか。
とにかく、かなり強い武人である事だけは確かだ。
何でこんな事が言えるのかと言うと。
そう、自分はお淑やかな良家の令嬢などではなく。
いや、家はそこそこ伝統ある御家なのだが。
実は、自分は武術全般免許皆伝、お淑やかとはかけ離れた娘なのである。
確かに家が家だから、それなりにお嬢様らしく振る舞うのは、出来ない事はないけれど。
でも普通は、お淑やかで武術などとはかけ離れた、かなり良家の才色兼備のお嬢様が選ばれるものではなかろうか。
それはそうと、あのクソじじいの教授め・・・・!!
自分は勉学、というより研究をしたいがために大学院にいた。武術だけが好きなのではなく、勉強とか研究は、嫌いじゃなくてかなり好きな方だったから。
そして大学院のあのクソじじいの教授の助手として、日々研究に励んでいた時に、それは起こった。
「あー、一月後にリシテアヘ第三王子の個人教授として行ってもらえんかね?」
急に言われたこの直球の衝撃に、すぐに平常心が作用する訳でもなく。
約5秒後に、やっと口が聞ける様になった。
「ちょっと待ってください!急に言われても!てか行ける訳ないでしょ!!
教授が行けばいい話じゃないですか!?」
必死に教授に対して抵抗を試みた。
だって今まだ研究途中の物があるのに行ける訳ないじゃん!!
外国で個人教授なんて、自分のしたい研究をする暇などあるわけがない!
「いや、持病のギックリ腰がのぅ。最近とみに悪化してきおってな・・・。
まぁ、すでに君が来ると先方には返事はしてあるからの~~ほっほっほ。」
「嘘でしょー?!この妖怪クソじじいめーーー!!」
と、この状況となった顛末を回想しているうちに。
反射的に例の男性に対していつでも動ける様に身構える。
殺気とまではいかずとも、このプレッシャーは警戒しておいた方がいいだろう。
そう思っていると、その男性が船を降りてきた自分の方を向いた。
遠目からでは気づきにくかったが、その男性はなんと、獣人であった。
なんとなく書物で見たり、聞いた事があったものの、流石に驚いた。
だが、それよりこの人は自分の師匠と同じくらい強い、いやそれ以上か。
それを測ろうとしていると、ふっとそのプレッシャーが和らいだ。
「あぁ、貴殿がシオン殿ですか。この国へようこそ。自分は王都から参りましたヴォルクと申す者です。 今回、第三王子の個人教授のシオン殿の護衛を担当させて頂きます。」
あのプレッシャーの張本人のヴォルクという軍人は、少々、いや多少無愛想に、畏まった様子で挨拶をして来た。
「わざわざお迎え有難うございます、ヴォルク様。シオン・ファーウェルと申します。」
狼、だろうか。グレーのような、銀色のような毛色にブルーの瞳。
確か獣人は戦闘能力が人間より優れているんだっけ。だからだろうか、あのプレッシャーは。正直どういう正体か分からないうちはしんどかった。
勝てるかは五分五分、いや三割くらいだろうか、多めに見積もって。
「では参りましょう。あちらに馬車を用意してあります。」
ヴォルクが指し示す方を見ると、上等な馬車が一台止まっていた。
「あ、すいません。」
馬車に乗る際、少し不慣れなロングスカートの裾が邪魔になっていたため、ヴォルクが手を差し伸べてくれた。その手は、がっしりした手で、何だか暖かった。
船を降りると、船着場の程近くに、やたらに、と言えば大袈裟かもしれないが、
結構目立つ1人の男性が立っていた。
背がかなり高いからではない。 背が高い人は港で働いている男達の中で意外といないこともない。
軍服を着ているからではない。
ここは王都の手前の港町。軍事的にいえば、かなり重要な地点ではある。
だから、この国の軍人がいる事は、おそらく何の不思議もないだろう。
もしかして、自分だけなのだろうか。この強いプレッシャーを感じるのは。
背筋がゾクッとし、冷や汗を掻く寸前の状態である。
気配、とでも言うべきだろうか。
とにかく、かなり強い武人である事だけは確かだ。
何でこんな事が言えるのかと言うと。
そう、自分はお淑やかな良家の令嬢などではなく。
いや、家はそこそこ伝統ある御家なのだが。
実は、自分は武術全般免許皆伝、お淑やかとはかけ離れた娘なのである。
確かに家が家だから、それなりにお嬢様らしく振る舞うのは、出来ない事はないけれど。
でも普通は、お淑やかで武術などとはかけ離れた、かなり良家の才色兼備のお嬢様が選ばれるものではなかろうか。
それはそうと、あのクソじじいの教授め・・・・!!
自分は勉学、というより研究をしたいがために大学院にいた。武術だけが好きなのではなく、勉強とか研究は、嫌いじゃなくてかなり好きな方だったから。
そして大学院のあのクソじじいの教授の助手として、日々研究に励んでいた時に、それは起こった。
「あー、一月後にリシテアヘ第三王子の個人教授として行ってもらえんかね?」
急に言われたこの直球の衝撃に、すぐに平常心が作用する訳でもなく。
約5秒後に、やっと口が聞ける様になった。
「ちょっと待ってください!急に言われても!てか行ける訳ないでしょ!!
教授が行けばいい話じゃないですか!?」
必死に教授に対して抵抗を試みた。
だって今まだ研究途中の物があるのに行ける訳ないじゃん!!
外国で個人教授なんて、自分のしたい研究をする暇などあるわけがない!
「いや、持病のギックリ腰がのぅ。最近とみに悪化してきおってな・・・。
まぁ、すでに君が来ると先方には返事はしてあるからの~~ほっほっほ。」
「嘘でしょー?!この妖怪クソじじいめーーー!!」
と、この状況となった顛末を回想しているうちに。
反射的に例の男性に対していつでも動ける様に身構える。
殺気とまではいかずとも、このプレッシャーは警戒しておいた方がいいだろう。
そう思っていると、その男性が船を降りてきた自分の方を向いた。
遠目からでは気づきにくかったが、その男性はなんと、獣人であった。
なんとなく書物で見たり、聞いた事があったものの、流石に驚いた。
だが、それよりこの人は自分の師匠と同じくらい強い、いやそれ以上か。
それを測ろうとしていると、ふっとそのプレッシャーが和らいだ。
「あぁ、貴殿がシオン殿ですか。この国へようこそ。自分は王都から参りましたヴォルクと申す者です。 今回、第三王子の個人教授のシオン殿の護衛を担当させて頂きます。」
あのプレッシャーの張本人のヴォルクという軍人は、少々、いや多少無愛想に、畏まった様子で挨拶をして来た。
「わざわざお迎え有難うございます、ヴォルク様。シオン・ファーウェルと申します。」
狼、だろうか。グレーのような、銀色のような毛色にブルーの瞳。
確か獣人は戦闘能力が人間より優れているんだっけ。だからだろうか、あのプレッシャーは。正直どういう正体か分からないうちはしんどかった。
勝てるかは五分五分、いや三割くらいだろうか、多めに見積もって。
「では参りましょう。あちらに馬車を用意してあります。」
ヴォルクが指し示す方を見ると、上等な馬車が一台止まっていた。
「あ、すいません。」
馬車に乗る際、少し不慣れなロングスカートの裾が邪魔になっていたため、ヴォルクが手を差し伸べてくれた。その手は、がっしりした手で、何だか暖かった。
■作者メッセージ
うぅ、何だか恋愛から程遠い気が・・・。
この物語は、主人公は原作とは違うキャラです。
か弱い感じの主人公を想像してた方はゴメンなさい!!
この物語で出てくる主人公の師匠はめちゃくちゃ強い設定です。
この物語は、主人公は原作とは違うキャラです。
か弱い感じの主人公を想像してた方はゴメンなさい!!
この物語で出てくる主人公の師匠はめちゃくちゃ強い設定です。